【吉田酒店の酒蔵探訪記】Great Dane Brewing グレート・デーン・ブリューイング(宮城県・秋保町)

“クラフトビール”
数年前からの人気上昇と同時に、急激に広まり、いまや定番。飲食のトレンドキーワードでもあります。飲んだことがある方も、飲んで大好きになった方も多いはずです。

そんなクラフトビールの新しい醸造所(ブリュワリー)が、2024年1月、秋保町に誕生しました。

「もっと美味しいビールを!」
「もっと地域に愛されるビールを!」


『Great Dane Brewing=グレート・デーン・ブリューイング』は、1994年にアメリカのウィスコンシン州にてロブ・ロブレグリオ氏とその友人で創業、同州はビールの名産地としてもよく知られています。氏は2012年に全米の年間最優秀醸造家(Brewer of the Year)に選ばれ、縁あって2016年に創業した松本ブルワリー(長野県松本市)の醸造アドバイサーにも就任しました。


日本のビール市場を見ていく中で、「もっと多様で、もっと美味しい、そしてもっと楽しいビールを自ら日本人に届けたい」と思うようになり、7年以上の準備期間を経て、秋保町で念願の醸造所をオープン。海外で実績のあるブリュワリーが、輸入や委託醸造ではなく日本で自らの醸造所を立ち上げてビールを造ることは、非常に珍しく非常に大変なことです。

グレート・デーン・ブリューイングのシンボルは、犬の”グレートデーン”のシルエットです。ウィスコンシン州のデーン郡で創業したこと、故郷を誇りに思う”グレートデーン=偉大なるデーン”ということ、そして人間の横にいる犬のようなパートナーでありたいという想いを掛けています。

新しい秋保の創造拠点

醸造責任者の清沢哲也さんにブリュワリー内を案内していただきました。清沢さんは、アメリカ留学中にグレート・デーンに入社。『師匠』であるロブ氏から直々に醸造の技術を学んだそうです。

秋保のブリュワリー内の設備や導入はもちろん、ビールの味わいの設計など、清沢さんを中心に行っています。



約20種類のモルトを全て自社輸入し、ビールのスタイルに合わせて配合します。現在使用しているホップは輸入がほとんどですが、自社畑のホップも栽培しています。

『秋保ホップのクラフトビール』を造ることも計画中とのこと。これは楽しみですね!

 

 

 

こちらは糖化を行うマッシュタンクです。

上部から1tのモルトを投入して仕込みを行います。仕込み後に出るモルト粕やホップ粕は、栄養価が高く良質な飼料となるので、近隣の農家さんや酪農家さんたちに提供しているそうです。

秋保の水はラガービール造りに最適な硬度と成分で、ほぼ無調整で使用しています。この水こそが、秋保に醸造所を造る決め手の一つでした。

 





発酵を行うタンクは、大小合わせて16基あります。それぞれのタンクごとに、6種類の酵母を使い分けて調整し管理しています。

小さいタンクでは試験的な醸造も行っており、新製品の開発にはこちらを使用するそうです。

 

 





タンク内を洗浄する際に、多くのブリュワリーでは酵素洗剤を使用しますが、グレート・デーンでは安全性と洗浄力の高さから”オゾン洗浄機”を使用しています。このような機材のセレクトも清沢さんのこだわりです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遠心分離ろ過装置(写真左)は、日本のクラフトビール醸造所ではおそらくグレート・デーンでのみ導入されています。ビールの清澄度合いを素早く正確に調整するためです。

熱交換による殺菌装置(写真右)も、大手以外で導入しているのはグレート・デーンだけ。缶入れの前に火入れを行い、菌の発生や増殖を徹底的に抑えることができます。

清沢さんの一番のこだわりでもある『生産ライン』

缶を殺菌洗浄してビールを封入する際は、液体を一切使わずにガスの風圧や温度管理によって缶内を殺菌します。そうすることにより、ビールを入れる工程で味の変化を極力抑えることができるのです。

また、ビールを入れるときにも炭酸ガスを使用し、缶内と気圧の圧力差でビールを入れることで、空気に触れることなく封入できます。雑菌の侵入を防ぐだけでなく、泡を発生させずに封入することができるのです。






また、施設内の設備はほぼ全てアメリカ製で統一されています。ごく一部はドイツ製、最終チェックの精密機械は日本製ですが、クラフトビール本場のアメリカ製が、技術的にも経験的にも信頼できるためだそうです。

 

 

 

地域を盛り上げ、ビールの美味しさと楽しさを伝える、宮城とアメリカの架け橋

ウィスコンシン州の醸造所と同じようにレストランも併設しています。秋保をはじめとした、宮城県産の食材を使ったアメリカンスタイルのブリューパブ。およそ80席の店内では、ただの”試飲”ではなく造りたてのビールを飲みながら、『アメリカ×宮城』のオリジナル料理をお楽しみいただけます。

 

一時は”地ビール”という名前で注目されたクラフトビール。

地ビールの”地”。『地元』や『地域』に込めた思いを大切にした宮城の新しいブリュワリーです。仙台市中心部から車で30分ほどで行ける秋保温泉街にあります。公共交通機関の場合は、宮城交通バス「枇杷原バス停」が目の前です。ぜひ訪れてみてください。

商品の在庫、入荷状況はお電話でも確認いただけます。
また、FacebookInstagramでも商品のお知らせしております。
弊社のオンラインストアからも購入可能です。どうぞ宜しくお願い致します。


Great Dane Brewingの皆様、貴重な時間をありがとうございました。



Great Dane Brewing
グレート・デーン・ブリューイング

982-0241
宮城県仙台市太白区秋保町湯元枇杷原5


TEL:022-397-7259

https://greatdanebrewing.jp