吉田酒店の酒蔵探訪記・蒸留所編|株式会社MCG(宮城・大崎市)

9月1日、宮城県大崎市にある株式会社MCGさんを訪問させていただきました。
MCGとはMiyagi Craft Gin/ミヤギクラフトジンの頭文字のことです。「伯楽星」「あたごのまつ」の醸造元でお馴染みの新澤醸造店様が2018年に設立した、東北初のジンの蒸留所です。
宮城県内の様々な食材からインスピレーションを受けて試作開発に取り組み、試行錯誤の上ついに2020年5月7日にクラフトジン「欅」を発売されました。

弊社スタッフ一同、蒸留所の見学は初めてということもあり、出発前からワクワクが止まりません! それでは出発です!
太白区から車で約45分。
特に目立った看板もなく”ライスコーポレーション”という新澤醸造店様の精米所の看板を頼りに到着。もともとは違う工場だった施設を借受けてジンの製造向けにリニューアルを施されたそうです。

クラフトジン「欅」が誕生するまで

到着後、代表取締役の杉原さんと醸造技師の板井さんより「欅」のコンセプトやこだわりを教えていただきました。
新澤醸造店様では、蒸留酒を造る計画が以前からあったそうで、4年ほど前にイギリスのウイスキー蒸留所を視察し、その際にウイスキーと一緒にジンを造っていた蒸留所があり、ジン造りに興味が沸いたそうです。
そこで一躍ジン製造に名乗りを上げたのが杉原さんでした。
それまでは日本酒造りのプロとして経験を積まれていたお二人ですが、ジンの製造となれば話は別。一からの経験に日々試行錯誤の連続だったそうです。
現在、商品開発から製造・瓶詰など、全ての工程を杉原さんと板井さんの2人体制で行っております。
「醸造するにあたって、日本のクラフトジンも含め、世界中の様々なジンをテイスティングしました。その中で2人が飲んで美味しい、造りたいと感じたジンは、”個性的よりは王道、繊細でいてキレイな味わい”。このイメージを具現化したい」こうして現在発売されている「欅」の方向性が固まっていったそうです。

そして、“造るならば材料はなるべく宮城県産のものを使いたい”という、素材へ思いもお話を聞いていて強く伝わってきました。理想的なジンの香りと味わいの元となるボタニカルを求め、宮城県内のあらゆる食材を試したといいます。その中で選ばれた6種類が、柚子の皮(大河原町産・柴田町産・大島産)・完全無農薬のセリ(名取産)・茶葉(石巻市桃生産)・ブドウの果皮(仙台市秋保産メルロー)・ジュニパーベリー・コリアンダーシードです。
お二人ともジン造りは初めての経験と話しておりましたが、イメージ通りの味わいを表現できるのは流石です。

東北初のジン蒸留所の内部へ

いよいよ蒸留所を案内していただきます。
実際に中に入ってみると設備がコンパクトなことに驚き!!
外観からなんとなくイメージはしておりましたが、ここまですっきりとまとまっているとは…。
さらには、コストパフォーマンスに特化したフルーツリキュール「超」シリーズもこの場所で製造されていうそうです。

ピカピカの蒸留器はドイツ製です。ホルスタイン社という老舗蒸留器メーカーのもので、単式蒸留器と連続式蒸留器のいいとこ取りのハイブリットモデル。
コンパクトですが使い勝手がいいそうで、1回の作業で最大150ℓまで蒸留できます。写真や映像などでよく見る、海外の蒸留所で使われている大きなサイズのものは大体3000ℓのサイズだそうです。
サトウキビを使用したベーススピリッツに、厳選されたボタニカルを浸漬し蒸留していきます。それぞれの素材の良さを最大限に引き出すために、浸漬時間や抽出の圧力を変えて原酒を造り分けていきます。
蒸留したての原酒のアルコール度数は約70%。それを一番香りが広がりやすい42%まで加水して調節し、その後ブレンドしていきます。緻密な計算と、何百パターンものブレンド比率を試した結果、「欅」に辿り着きました。

見学した時も蒸留器は絶賛稼働中。
柚子の原酒を蒸留中でした。

雑味や濁りの原因となる蒸留初期(ヘッド)と蒸留後期(テール)は別でとっておき、中心部分 (ハーツ)のみをブレンドに使用します。

それぞれの原酒。この後ブレンドされ「欅」となります。

ブレンド前の原酒をそれぞれ試飲させていただきました。中でも一番印象的だったのはセリの原酒。葉っぱも根っこも一緒に蒸留するので、爽やかさプラス土のような香りが広がります。
実はこのセリの原酒がブレンドの柱だそうです。
初めて「欅」を飲んだ時に、柑橘系のフレッシュなフレーバーを一番に感じたので、柚子の原酒がメインなのかと考えておりました。食べるとパワフルな味のセリですが、蒸留すると繊細で複雑な香りになるんですね。

「欅」の中には含まれていない、実験的な原酒もテイスティングさせていただきました。ショウガ・ホップ・ミントの3種類をテイスティング。個人的にはショウガが非常に好きです。いつか製品化されればいいなと勝手に妄想してしまいました。

こちらの写真は実際に使われているジュニパーベリーです。海外のものですが、ジュニパーベリーにも品質があるそうで、色々と取り寄せて選んだそうです。
ブルーベリーより一回り小さいサイズで、香りはそのまんまジン!!(語彙力なくてすみません…)食べてみると、ほんのりとした甘みに、コショウのような辛さとほろ苦さがあります。
「なかなか実物のジュニパーベリーって、見たことも香りを嗅いだこともないよね…」
二週間ほど前のスタッフのテイスティングで、『勝手にジン強化週間』を行っていた時の疑問と悩みが一気に解決された瞬間でもありました。

新しい食中酒文化の発信

「バーでも、居酒屋でも、ご家庭でも、仙台では”食中酒としてジントニックを飲む文化を広めていきたい”と思っております。トニックウォーターやソーダで割って飲むことに特化したジンの味わいを楽しんでほしい。現在の生産量は1週間に一升瓶換算で300本ほどが限界だが、いずれは海外市場にも発信し世界中の人に飲んでもらいたい。」ともお話しされておりました。
宮城県産の素材や蒸留方法のこだわりだけでなく、新しい文化を作っていきたいという思いも、訪問させていただいてより感じ取ることができました。これからも、より深いお付き合いを続け、その思いをみなさまに伝えていけたらと思います。
杉原さん、板井さん、貴重な経験をありがとうございました。

株式会社MCG

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